中退を考えている人へ

調査データ(平成27年)を見てあまり悲観的にならない

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大学中退者に関する調査データを見て感じたこと

中退者の就労についての調査データを見つけました。中退者支援サイトなどでよく引用されているものです。

独立行政法人労働政策研究・研修機構というところが行った調査だそうで、中退者と卒業者を比較し中退・卒業後のそれぞれの就労状況などについてまとめています。

但し、この調査は平成27年(2015年)に発表されたもので、調査が行われた時期は更に古く2012年あたりが中心のデータとなっています。

この時期はリーマンショックの影響もかなり残っており、大卒者でさえも就職に苦労した時期だということを頭においたうえでみていきたいと思います。

大学中退者の就労と意識に関する研究

以下に気になったところを引用しています。

www.jil.go.jp

  • 中退後の行動についてはこれまで教育研究でも労働研究でも十分に検討の対象になってこなかった。労働研究においては、様々な労働統計において学歴を尋ねる際に中退という選択肢は設けられていないことが多く、中退については十分に把握されていない。中退の場合、学歴上は下の段階の学歴になってしまうため、大学等の中退者であれば学歴は高卒ということになるからである。
  • 大学等中退者は卒業者に比べて離学してから就業するまでの期間が長く、近年さらに長くなる傾向が見られる。。正社員までの期間はさらに長く、20 代では中退者の6割前後が一度も正社員経験がない。さらに 20 代では無業や失業のリスクが高く、就業している場合も非正規雇用比率は同じ教育段階の者の2倍となっていた。 
  • さらに中退時には、「正社員として就職したい」と半数近くの中退者が考えているが、実際に正社員として就職するための準備をした者は3割にとどまり、アルバイトを探したり、在学中から行っていたアルバイトを継続するなどの行動が多く見られた
  • この理由として自由回答からは、中退者が正社員になるための就職活動の方法が分からないという点や、アルバイトとは言っても中退後はフルタイムに近い労働時間で働くために就職活動の時間を確保することが難しいという理由が挙げられた。また調査時点では「非典型一貫」キャリアが6割あまりを占める。

ショッキングなデータ

この調査報告によると、

過去に行われた多くの調査で大学中退者は高卒の中に含まれており、大学中退者を対象にした調査は今までほとんど行われてこなかったとのことです。

そして、中退者にフォーカスした今回の調査結果として

  • 大学中退者は年々増加している
  • 中退者の就労状況は卒業者に比べて思わしくない
  • 中退して働き始めるまでに期間が長く最近はさらに長くなっている

などとなっています。

2つのショッキングな調査結果

ショッキングなデータとして以下の2つが目に留まりました

  • 離学時(卒業や中退)の正社員として就業した人の比率が大学・院卒の人が、約80%に対して、大学中退者は約12%と絶望的に低くなっています。更に、高卒者(52%)と比べてもかなり低いと書かれています。(2005-2009年 男性)
  • 20代の人が社会に出てから一定期間を経たのちの正社員比率についても書かれています。これによると、大卒者が約73%なのに対して、中退者は30%弱となっており、社会に出てからも正社員への移行は厳しいと書かれています。

調査結果を見て感じたこと

この調査結果をみてまず最初に思ったことは、

この調査では、中退者の就労状況はよろしくない⇒中退者を減らす取り組みと中退した後の就労支援が必要!といった結論ありきで書かれたものだと感じました。『中退しても結構就職できるみたいです!』なんて書けませんからね。

中退者の就職が卒業者に対して劣るのは当然ですが、この調査が行われた時期が大卒者でも就職が厳しい時期であったことに加え、やはり結論ありきな部分もある気がします。

私なりに感じたことを以下に紹介します。

高卒者と比べてもかなり低いと書かれていますが

高卒者と比較したところで目指す職種やポジションは全く違います。

高卒者のほとんどが現業職や一般職として就職するのに対して、大学中退者の多くは現業職としての就職を嫌います。そのような違いがある中で単に正社員率といった数字だけで比較してもあまり意味がありません。

中退後すぐに就活をする人は全体の3割

 この調査結果でも書かれていますが、高校や大学卒業者は在学中に就活を行い殆どの学生が卒業(離学)と同時に就職するのに対し、中退者は中退してから今後の進路を考える人が多く、他の大学や専門学校に入りなおす人やこの調査でも書かれています通り就活方法がわからないためしばらくアルバイトをしながら就活する人もいるでしょう。

実際に就活をした人が全体の3割しかいない中での比率です。

離学時のデータ

更に、このデータは離学時となっています。

中退者が就活を始めても卒業者の様にある程度道筋が示されているわけでなく、どのようにして就活を始めたらいいのかわからない状態で就活をスタートします。結果、就活を始めた3割の人の中には、就職できる時期がかなり遅くなるケースもあると思います。

離学してすぐに就職先が見つからなくても、アルバイトをしながらじっくり仕事探しをする人や公務員試験を経て民間企業に就職する人も少なくないと思います。このような人は正社員として就職した人のデータに含まれていないのではないでしょうか。

調査対象者の中で就活の前段階の人たちも多く含まれている

もうひとつ気になるのが、調査対象者が若者就労支援を行っているサポステ利用者も含まれていることです。中退者で就活をする時、ハローワークによっては面接の練習を実施していないところもあり、サポステを紹介されるケースもあるようです。

サポステは若者の就労支援施設で、大学在学者や卒業者・大学を中退してすぐに就活を始める(能動的に行動する)人も利用していますが、大学を中退して長年自宅に引きこもっていた人やもともと不登校だった人も少なからず含まれいます。

中退者は大学入学の前段階から何らかの問題を抱えていた人の割合が高く、就活の前段階の人たちが多く含まれているため全体の就職状況はさらに厳しくなると思います。

自発的に就活した人や縁故採用者などは中退者だけ含まれていない

もう一つ、ハローワークやサポステなどを介さずに就職活動をした人は中退者の中には含まれていません。例えば縁故入社です。大卒者で正社員になっている人の中で縁故採用される人は含まれていますが、中退者のそれには含まれていないと思います。

社会に出てからも正社員への移行は厳しい

もう一つのショッキングな内容として、一旦社会に出ても正社員の割合が低いについてですが、

調査が行われた時期がリーマンショック後で、大卒者の正社員でさえ不本意入社が多い時期だったと思います。私立有名大学の学生が中小企業に殺到した時期でしたので、中退者がそこからはじき出され正社員の道を失いそれが一定期間継続していた可能性は高いと思います。

また、上でも書きましたが大学入学前から問題を抱えていた人の社会進出は年を重ねてもなかなか改善されないケースも多く、20代後半から社会進出に向けて活動する人の割合は高いと思います。

感じたことをまとめると

中退者の正社員率が低い結果になった理由として感じたことをまとると

  • 調査が行われた時期が中退者にとって最も厳しい時期だったーバブル崩壊・リーマンショックの影響など
  • 中退者はすぐに就活を始める人の割合が少ない(3割)-大学・専門進学や就活手段がわからない・フルのアルバイト労働で就活時間が取れないなど
  • 離学後一定期間以内に就職した人のデータしか含まれていない可能性がるー中退者は就職が決まるまでの期間が長い
  • 中退の調査対象者が就職に不利な人が一定数含まれている-大学進学前から問題のあった就活の前段階の人が一定数含まれている

これらのことから、中退者の対象者の就労結果が極端に悪く出ているのだと思います。

中退者の就活は確かに大変ですが必要以上に悲観的にならない

卒業者がある程度の道筋が用意された中で就活をするのに対して、中退者はただでさえ不利な状況で更にサポートが少なくアドバイスがもらえる経験者もあまりいない中で就活を進めないといけません。

例えがおかしいかもしれませんが、お金持ちの子供は有名塾に通い、しっかりした指導と情報提供を受けながら効率的に勉強を進めるのに対して、そうでない子供は独学で試行錯誤しながら勉強しないといけない状況に似ているような気もします。

この様な状況の中で、就活するのは大変です。

調査した時期に比べ良くなっている就職環境

独立行政法人労働政策研究・研修機構の調査でも中退者のサポート体制の充実をあげており、今は若者ハローワークなどもでき中退者支援も充実してきています。

また、この調査結果が発表された平成27年(調査サンプルは2012年あたりに収集されたデータ)に比べ就職環境は良い方向に向かっていると思います。

残念ながら、最近の調査データを見つける事は出来ませんでしたが今調査をすればもう少し違った結果になると思います。 

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